統一教会の経典の秘密

韓国メシヤ運動史研究所シリーズ第5巻 統一教会の経典の秘密 『原理原本』から『真の父母経』まで

『原理原本』に現れた創始者の血統認識を理解することは非常に重要である。

2)『原理原本』執筆

(1)執筆過程
1950年12月4日以降、平壌を離れて劇的に北朝鮮を脱出し、1951年1月27日、釜山に到着した創始者は、その年の5月のある日から『原理原本』執筆を開始した。 6.25韓国戦争で生き残った他の民衆たちと同様に一日一日が苦難の生活だったが、創始者は「神様」をお迎えし復帰摂理が完了する一日のためにポムネッコルの2坪一部屋の土塀の家で平壌から一緒だった金元弼*1と涙の賛美と精誠の中で全体で5冊691ページの分量の『原理原本』を1952年5月10日に完成した*2

(2)主要内容
統一教会は『原理原本』を正式に公開したことがない。筆写本ではない『原理原本』を研究した学者は公式的には鄭珍完だけだ*3。鄭珍完の研究物によれば、総675ページで構成された『原理原本』には目次がないが、巻ごとに題目があるという。

第1巻(1-176頁)
1.*4一つから全存在に
2.生の発源は先有から
3.無形世界と有形世界の同化的根本意義
4.霊人世界と実体人世界との相対的創造原理
5.創造原理と堕落原理は愛で始まる
6.如何に造られたか

7.それでは堕落の始まりを見てみよう
8.何故堕落させたのか
9.神様は私を知っているので、知ることができる
10.1と0は境界を定めることができない
11.原理で探すと聖書は直接教示できない
12.それでは、何故モーセから直接み旨の工作ができなかったか
13.生命の木に対する根本意味
14.神様はアダムから探す工作ができず、アベルからノアまでサタンに対する根本意義 15.審判した後、神様は痛憤
16.神様的責任分担摂理期間
17.ノアからアブラハムまで摂理路程の根本意義
18.アブラハムからイエスまで摂理された根本意義
19.モーセに対する神様の役事の路程がイエスの路程の全貌となる理由

第1巻は『原理原本』の序論に該当する内容を含んでいる*5。『原理原本』 は、「太初はすなわち一つであられる。この一つがすなわち太初である。この根本の、すなわち神様である*6」で始まっているが、根本的な存在である「神様」の存在性と被造世界の創造、「神様」と被造世界との関係を第1巻で説明している*7。良心の存在性を説明しながら、良心の根本が「神様」であると説明する*8。存在の問題を進化論と創造論で説明し、進化論を批判している*9。生心と肉心との関係については、生心の要求通りに生きなければならないと主張してい る。生心が肉身に拘束された状態が堕落の状態と説明し、人間が創造原理通りに生きて行くことが人間の絶対的義務であることを強調している*10。肉身と霊人体の構造と機能及び関係、そして生の原理を究明し、創造原理の基本構造を説明した*11。人の肉体と関連した原理が霊人世界にも適用される原理であることを 前提として霊人世界の生を言及している*12。神様と存在世界の存在原理と創造原理、堕落の内幕、アベルからモーセとイエスの前までの復帰摂理の全体的な内容が、第1巻に収録されている。


『原理原本』第1巻の中盤で創始者は、創造と堕落の動機がすべて愛だったと主張している*13。神様が堕落に干渉しなかった理由*14、神様の存在性と神様と人間との関係についての数理的観点*15、時が来れば新しい真理と原理の根本が明らかになるという内容、アダム家庭とノアまでの摂理的内容、復帰摂理基台造成のためのノアアブラハム、イエスまでの摂理内容、モーセ路程の摂理的意義が含まれている。
 

 ここで筆者が注目するのは血統及び血統復帰と関連した創始者の認識であ る。創始者他界後、韓鶴子が示した血統的アイデンティティや新たに編纂された経典の性格が創始者の血統認識と相反するため*16『原理原本』に現れた創始者の血統認識を理解することは非常に重要である。


「そのため、天の父母が成立してこそ子女の家庭組織成就が始まることが目的であるため、聖徒や天の人はこのひと日を長く待ってきたのだった。そのため、地が完成しなければならない存在がすなわち再臨主であるため、この方は地上にいるとしても、天の全部はこの方を父と母として侍ってこそ成すことに、代わりに成して満たす歴史をして、天の聖徒は私たちを探して合わせようとすることの根本意義である。天の人であれ地の人であれ、この根本父母に侍ってこそ地から永遠生活が始まることで、その地の夫婦は、天の夫婦として永遠家庭建設が始まる時代がすなわち再臨主父格として来られた方である。そのため、この時がすぐに来るようにする為にイエス聖神は力を尽くして来たのである。そのため、再臨基台を捉える役事時期がイエス昇天後に摂理する根本目的である。そのため、このような一つのみ旨成就に第2アダムイエスが未完成した理想部分、第3次アダム格として現われ根本み旨を完成して夫婦として新しい天国家庭建設に目的と合わ せて血代転換する新郞新婦の聖礼式で全世界に伝え、神様の体の部分の分配 を受けて根本理想まで移す道がすなわち再臨主に侍る道であり、父級完成部分霊人体を造成する生霊の道が万天宙を合わせて始まることが根本目的である。 そのため、今は、イエス聖神によって長成した生命級まで来た者たちには、必ずアダム・エバということで逢着を見る。しかし、これは堕落前のアダム級まで来て一つの夫婦級を成就することができる格者ということを教示される信者も今は、多くなくてはならない。そして再臨主根本人間先祖父に侍ることのできる基盤を立てる為の基本準備の基盤は世界各所に始まっていることが事実である。…それでは、イエスはどうなるかというと、長子としてすべての人の侍る中心の見本になるのだ。そのため、後に来られる再臨主が根本になるということを知るのは言うまでもないことだ。この方を中心として地であると同時に天の一部分であるという始まりなので、6千年の歴史完成と天の一つの目的達成の始まりを見る事実であるので、世界の喜びであり、天の喜びである。このような時代が来てこそ、全部、天のみ旨は一つの完成の基台は捕え、嘆息のない世界に第一歩の始まりを 見ることは事実である。そのため、聖書マタイ福音16章27節に人の子は父の栄光に輝いて天使たちと共に来るが、そのとき、それぞれの行いに応じて報いるのであると言われたのである。そのため、再臨は父として来られることも明らかにしたことを知らねばならない。以上のような原理で見たとき、私たちも霊で成すという者が神様の前にどのような者であるかは結論的に各自の解決に任せよう*17

 

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*1:『証言』第1集102頁.「ある日、早朝に先生は私を起こして早く火を灯せと言われた。その時は電灯もな く灯火だった。そして鉛筆と紙を準備するように言われる。その後、『私が言うように書きおろせ』と言われた。それは再臨論に関するものであったが、そのまま続けて話された。私たちは普通、文章を書くときは書いては考え、また書いては考えてと進んで行くが、先生は最初から最後まで休まずに私に話 された。先生が書かれた原理原本は全て先生の筆跡だが、この部分だけは私の筆跡になっている」

*2:統一教会史 上』95頁

*3:鄭珍完,「『原理原本』についての総論的考察」鮮文大2001年度修士論文.

*4:番号は筆者が任意に付けたもの.

*5:『原理原本』1頁.鄭珍完の修士論文の再引用

*6:『原理原本』1頁.鄭珍完の修士論文の再引用.『原理原本』2頁.鄭珍完の修士論文の再引用.

*7:『原理原本』2頁.鄭珍完の修士論文の再引用

*8:『原理原本』4-5頁.鄭珍完の修士論文の再引用

*9:『原理原本』11-12頁.鄭珍完の修士論文の再引用.

*10:『原理原本』17頁.鄭珍完の修士論文の再引用

*11:『原理原本』22-25頁.鄭珍完の修士論文の再引用.

*12:『原理原本』26-28頁.鄭珍完の修士論文の再引用.

*13:『原理原本』36頁.鄭珍完の修士論文の再引用.

*14:『原理原本』58頁.鄭珍完の修士論文の再引用.

*15:『原理原本』72頁.鄭珍完の修士論文の再引用.

*16:2016年12月25日と30日、韓鶴子が公的に発言した韓鶴子の独生女血統認識(創始者は有原罪堕落 の血統で韓鶴子は無原罪純血を主張)は、『原理原本』で把握されている創始者の血統認識と同じでないことが分かる.

*17:文鮮明,『原理原本』(未発刊図書),金元弼筆写本116-117頁.