統一教会の経典の秘密

韓国メシヤ運動史研究所シリーズ第5巻 統一教会の経典の秘密 『原理原本』から『真の父母経』まで

韓鶴子の三大経典が「偽書」と批判される決定的な根拠

(3)『真の父母経』の偽書論争

 韓鶴子が心血を注いで天一国三大経典の中の宝石として『真の父母経』を作ったが、衝撃的な事実は神格化に必要な韓鶴子に重きを置く教示や「み言葉」が『真の父母経』の編集過程で量的・質的にあまりにも足らないため、これを満たす為に他人の文章や証をまるで韓鶴子の「み言葉」のように捏造した多くの文章が『真の父母経』において発見されている点である。独生女を神学的に論証して韓鶴子を神格化する為に、『真の父母経』の編集者が如何なる苦悩をしたのか知ることができ る。これは、韓鶴子の三大経典が「偽書」と批判される決定的な根拠と見られる。


 『真の父母経』は、韓鶴子神格化の根拠を「韓鶴子出生の神秘とこれに対する絶対予定*1、再臨主(創始者)と結婚した女性としての宗教的地位*2創始者からの韓鶴子完成認定」など*3において集中的に探している。統一原理の観点から見ると、韓鶴子の価値は創始者の「言及*4」や神秘かつ神話的な事件*5ではなく、「神様」の真の愛を中心に主体である創始者と対象である韓鶴子が一つになって真の家庭の四位基台を完成し、全人類のモデル家庭の真の母になるところに見出すことができる。韓鶴子を神格化する発想は、神話的・崇拝的次元の宗教を超越して、真の家庭中心の理想世界を現在に、そして地上に成そうとしてきた「真の父母」(創始者)の摂理的目標とは相当の距離があるように見える。特に韓鶴子出生の神秘を韓鶴子の母親である洪順愛の証に主に依存しており、これを韓鶴子神格化の根拠にした点は、宗派的特性に拘束されている韓鶴子のアイ デンティティと『真の父母経』の限界と言える。

『真の父母経』の「序文」によると
「…このたび発刊する『真の父母経』は、三大祝福を実現することによって神様の恨を解こうと生涯を生きてこられた御夫妻の行跡を、み言葉を中心として13編に分類し、真の父母様の主要摂理の実録を収録しました。…その膨大なみ言を、真の父母様が成就された業績を中心大綱に据え、縦横・前後から立体的に整理し、『真の父母経』という名称で集大成することになりました。『真の父母経』は、真の父母様の聖誕と成長、召命、聖婚、そして人類救援と平和世界実現のための多様な摂理的行跡など、感動的な生涯路程に関するみ言を、一目瞭然に整理したものです。したがって、『真の父母経』は真の父母様が残された血と汗と涙の戦勝記録であり、摂理史の最終報告書であると言うことができます。…」

と明らかにしている。八大教材教本が創始者の「み言葉」と教示であるために 統一教会の公認された経典として認められたのと同じように、『真の父母経』が経典として認められる為には必ず、序文で明らかにされているように、その内容 は全面的に「真の父母」(創始者韓鶴子)の「み言葉」でなければならない。

 2013年に金榮輝が「お父様のみ言葉を使わず他人のみ言葉を使えば偽作になるのであって、どうして偽作になりますか」と主張したように*6、『真の父母経』において僅か1文章でも「真のお母様のみ言葉」ではない他人の言葉や文を「真のお母様のみ言葉」として偽装して紛れ込ませたなら、『真の父母経』は経典としての価値を喪失する。

 結論的に言って、統一教会の最後の経典として作られ、大々的に販売された 『真の父母経』は、金榮輝の主張どおり偽作経典という非難を避け難いように思われる。その理由は、2009年1月30日に梁昌植が発行(コ・ハクチョル編集)した『真の父母様の生涯と摂理*7』の内容の一部を助詞までほぼ一致させて表記 し、「真のお母様のみ言葉」としてカモフラージュさせたからである。

 

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*1:『真の父母経』第2編第2章,「真のお母様の聖誕」,133-148頁. 

*2:『真の父母経』第1編第2章,「真の父母様の聖婚と真の父母時代」,67-84頁.

*3:『真の父母経』第2編第4章第4節,「真のお母様の苦難と勝利の道」,198-206頁.

*4:『み言葉選集』第236巻109頁,1992.11.3.「この洪順愛ハルモニと今のオモニとで3代一人娘です。 再臨主を迎える為に3代を治理したのがオモニの系統です。今まで3代を苦労した女達が何処にい ますか。そういう何かが分かったのでオモニを選んだというのです。3代以上の歴史に侍ることが できないのです。それでオモニを選び立てたのです」

*5:『真の父母様の生涯と摂理2』44頁,「韓承運の幻想を通じて韓鶴子の名前をつけた」;「サタンが 鶴子の誕生を脅かした」『真の父母様の生涯と摂理2』45頁.;『真の父母様の生涯と摂理2』46 頁.:許孝彬の母親が韓鶴子を見て天の新婦になると言ったという洪順愛の証;『真の父母様の生涯と摂理2』47頁.:白いチョゴリを着た不老のハルモニが天の啓示を受けて祝福してくれる幻想を見たという韓鶴子の言及;『真の父母様の生涯と摂理2』54-55頁.:済州島時代に見知らぬ男が訪ねて来て「この方は天地の間に神聖なお方です。2つの大事を持って出てこられました。ところが、 道で成功してこそ大きくなるのであって、そうでなくて世に出ていけば反対に逆賊になります」と言ったという洪順愛の言及。

*6:世界平和統一家庭連合,「天聖経増補版に対する正しい理解と摂理的価値」2013.7.8. 

*7:歴史編纂委員会,『真の父母様の生涯と摂理2』「真の父母様の聖婚と第1次7年路程(1960-1967)」 (ソウル:成和出版社,2009).