統一教会の経典の秘密

韓国メシヤ運動史研究所シリーズ第5巻 統一教会の経典の秘密 『原理原本』から『真の父母経』まで

文誉進が批判した対象は、『原理講論』ではなく、原理講論の主人公である自分の父・文鮮明だった

 統一教会はいくつかの点においてこれらの傾向と多くの差がみられる。 まず、統一教会は公式的に出発する以前に、統一教会最初の経典といえる『原理原本』が存在し、創始者の生前に創始者の教示を記録した615冊にも及ぶ膨大 な量の創始者のみ言葉選集が公式発行されており、これを含む統一教会の教書などが「八大教材教本」という名前の公式経典として確定されたという事実は、 他の新宗教と区別される特徴である。このような事実を通して、統一教会創始者 が経典に込めた精誠が如何なるものであったかを知ることができる。


 第2に、創始者の宗教体験とアイデンティティから始まり確定した統一教会の 経典が、創始者の他界を前後して、創始者の妻であり統一教会の「真の父母」の 一人である真の母・韓鶴子によって修正される気配がある中で、一部の統一教会 員たちの反発にもかかわらず、「天一国三大経典」という名前の(韓鶴子)『改定天聖経*1』『平和経』『真の父母経』が韓鶴子によって新しい経典として編纂さ れた事実である。この経典は、創始者の宗教的アイデンティティが歪曲される内容を相当部分含んでいるものと思われる。


 第3に、2016年8月22日統一教会学術苑創立シンポジウムで創始者の長女・文誉進が統一教会を代表する教理書であり経典である『原理講論*2』を家父長的 な儒教思想から始まったものと規定し、「絶対者『神様』を二性性相の中和的主体と説明しながらも、被造世界において男性格である父として存在すると説明する『原理講論』は、男女平等の時代に合わない」と主張した事実も*3非常に異例なことだ。厳密に言えば文誉進が批判した対象は、『原理講論』ではなく、原理講論の主人公である自分の父・文鮮明だった。
 

 第4に、創始者の教示と競合する韓鶴子の経典3冊が編纂され、韓鶴子が公的に無原罪独生女のアイデンティティを主張すると、統一教会の一部の神学者たちは創始者の血統的アイデンティティを否定して独生女の血統を合理化する教理の開発に集中している*4

 結果的に、韓鶴子の新しい血統認識から始まった、いわゆる天一国三大経典と創始者の「八大教材教本」が互いに衝突している。
創始者の7男・文亨進が自分の実母であり創始者の妻である「真の母」韓鶴子を「バビロンの淫婦」「堕落したエバ」「レズビアン」と非難しており、韓鶴子が自分の夫である統一教会創始者文鮮明の血統的アイデンティティと権威を否定している現象と共に、筆者は創始者アイデンティティから始まった統一教会の経典が十分な研究と合理化の過程なしに急激に毀損されている現象に注目した。 韓国メシヤ運動史研究第4巻『統一教会の分裂*5』で統一教会経典の変化過程 の特異現象のいくつかをおおよそでも言及したが、筆者は本書を通して統一教会史で発見された統一教会の経典の形成過程と経典の主な内容を追跡しなが ら、韓鶴子によって統廃合され毀損されている経典の内容とこれにまつわる内幕を集中的に叙述するつもりである。

 

 

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*1:世界平和統一家庭連合,(韓鶴子)『改定天聖経』(ソウル:成和出版社,2013).本書では、2005年に創 始者が編纂した『天聖経』(ソウル:成和出版社,2005)を(韓鶴子)『改定天聖経』と区別して(文鮮 明)『天聖経』と表記する

*2:世界基督教統一神霊協会.『原理講論』(ソウル:成和出版社,1966).

*3:文誉進,「両性平等回復の必要性」天一国学術苑創立総会及び第1回学術シンポジウ ム,2016.8.22.62-63頁.文誉進の論文で特に注目される部分は、創始者家庭で長女として生まれ、彼女が経験した男女不平等の話である。「文鮮明総裁と韓鶴子総裁の最初の子供として天の母と女性平等についての内容は個人的にも筆者にとって非常に重要である。統一運動で生涯を送りながら、神様 を男性の神様に局限して紹介していることに失望もし、不満を持っていた。-筆者は女性としてそのよ うな神様と相対するのが困難であった。…キリスト教儒教の全てが人類に多大な貢献をしてきたに もかかわらず、草創期の韓国統一運動の文化が男性中心のキリスト教文化だけだなく、男性と女性は 本来不平等であるという儒教の人間関係の教えの影響を受けた古代韓国文化の男性優越主義の影 響を受けたために、そのようになったのかもしれない。…統一運動でこのような思想的混乱に陥っている人々を見ると非常に残念である。その中には筆者の実の兄弟姉妹もいるが、彼らは深刻に何かを 間違って理解しており、神様と人間の性の平等を認めない過去の家父長的文化を放棄できず、現在、真のお母様の指導力をはなから否定している。そのような行動は真のお父様の志とは反対である」

*4:金振春,「真の父母様の独生子・独生女研究」孝情学術苑創立総会,国際学術シンポジウ ム,2017.2.7.244-256頁. 

*5:金種奭,『統一教会の分裂』(天安:図書出版アウネ,2016).