統一教会の経典の秘密

韓国メシヤ運動史研究所シリーズ第5巻 統一教会の経典の秘密 『原理原本』から『真の父母経』まで

経典改定の終着:韓鶴子の独生女論

6)経典改定の終着:韓鶴子の独生女論*1
 創始者他界前の2012年8月23日、韓鶴子の指示で経典改定の為の「み言葉編纂委員会」と「天聖経増補版編纂委員会」が組織された。委員長金榮輝が提示した経典改定の最大の正当性は、まさに創始者と一体を成した神様の妻、韓鶴子の指示であった*2。前述したように、経典の毀損と改定は、韓鶴子の神格化と共に行われた。特に創始者の他界直後に露骨に表出された韓鶴子の独生女認識は、短い時間で推進されてきた経典改定の動機であり結論であり、それは 『真の父母経』として具体化した。

 完成したアダムとしての「独生子」と完成したエバとしての「独生女」に関する話*3は、創始者の「み言葉集」に非常に多く言及されている*4。その多くの言及の中で、 いわゆる独生子と独生女の話が今まで統一教会の重要な神学的主題にならなかったのは、この用語の概念が全ての男性と女性が完成すべき普遍的な人間像、即ち完成したアダムとエバを意味する用語のそれ以上でも以下でもなかったからである。アダムとエバが行くべき縦的8段階と横的8段階の「復帰途上*5」に「独生子」 と「独生女」がないのは勿論のこと、『原理講論』には唯の一回も「独生女」に対する言及はない。統一教会の信仰者が知っている人間の最高の地位は独生子や独生女ではなく、神様の創造目的を完成した「真の父母」であった*6ことも、突然に登場した独生女論に統一教会の信仰者が当惑する理由と見られる。

 

韓鶴子の独生女に関する言及
● 2012年9月30日、韓鶴子は秋夕節特別集会において
「私は17歳で聖婚した後、2つのことを決心しました。そして、その決心したことを全て成してさし上げました。皆さんが想像もできない難しいことを全て成してさし上げました。私でなければ、どうして万王の王になることができたでしょうか。私でなければ、どうして真の父母になることができたでしょうか。私によって万王の王、真の父母の座に至るようになりました。それを成してさし上げるのに、皆さんには想像もできない困難があったということを知らなければなりません」

と言った。この文字上の意味が統一教会の伝統と違うと見る人はいないが、この言葉に含まれた韓鶴子の意図は2016年12月25日と30日に公言した韓鶴子の無原罪独生女の主張において明確になった。

 創始者を完成させて真の父母、万王の王にしてあげた存在が正に韓鶴子自身であり、その為に言葉に言い表せない困難を経てきたという主張は幾つかの論難の材料を内包している。韓鶴子のこの主張は完成したエバなしには完成したアダムの小羊の婚宴はあり得ず、完成した真の母がなければ完成した家庭はあり得ないので、真の母の完成は真の父の完成と共に完成した真の家庭の絶対条件という意味を内包している。この言及が統一教会の教理と完全に違うとは言えないが、完成したアダムである真の父の存在が真の母の存在よりも優先される条件であるという点を考慮すると、この言葉の本意が統一教会の教理と一致するとは考えられない。

 統一教会の教理によれば、完成した後のアダムである真の父(創始者)は後のエバである真の母(韓鶴子)の絶対前提となる。後のアダムがいなければ後のエバは存在自体が不可能である。絶対者の復帰摂理は、完成した後のアダム(メシヤ)の出現から始まる*7。後のエバとして選ばれた一人の女性が完成したエバとして失敗すれば、後のアダムは他の後のエバを探すことができるというのが創始者の教えだった。それゆえ、創始者韓鶴子が完成して人類の真のお母様になることを基元節の条件とし、それが不可能であれば、離婚して他の後のエバを探さなければならないとまで語ったのである*8

 

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*1:この部分は、筆者の拙著『統一教会の分裂』262-274頁を参照にした。

*2:http://cafe.daum.net/W-CARPKorea/cSkJ/21262.;世界平和統一家庭連合,「天聖経増補版に対す る正しい理解と摂理的価値」,2013.7.8.

*3:独生子(only-begotten Son)とは、「神様の一人息子、長男」という意味で、イエス・キリストを指すキ リスト教の神学的用語である。「み言葉が肉体となり、私たちの内に宿った。私たちはその栄光を 見た。それは父のひと子としての栄光であって、恵みと誠とに満ちていた」(ヨハネ福音書1:14)とい う聖句や、「神はそのひと子を世につかわし、彼によって私たちを生きるようにして下さった」(ヨハ ネの第1の手紙4:9)という聖句などで言及されている。

*4:『み言葉選集』41巻,310頁.;第23巻,163頁.1969.5.18.;第185巻,187頁.1989.1.8.;第115巻,133 頁.1981.11.8.;第231巻,21頁.1992.5.31.;第34巻,342頁.1970.9.20.;第23巻,149頁.1969.5.18.;第115 巻,133頁.1981.11.8.;第23巻,176頁.1969.5.18.;第135巻,124頁.1985.10.4.;第143巻,25頁.1986.3.15.;第 159巻,198頁.1969.5.12.;第79巻,188頁.1975.7.27.;第58巻,218頁.1972.6.11.;第41巻,200頁.1971.2.15.; 第94巻,41頁.1977.6.26.;第94巻,49頁.1977.6.26.その他、多くの所に登場する独生子、独生女の意味 を総合的に分析すると、「独生子、独生女」は、「神様の愛を完全に受けることができる完成したアダムとエバ」を意味する。独生子がまず来て独生女を選び、エバができなかった責任を果たさせることによって、独生子は真の父、独生女は真の母となり、神様の真の家庭の標本となる真の家庭を成さなければならないと創始者は説明する。独生子と独生女の概念は、復帰され完成した男性と女性、 即ち人類の全ての男性と女性が復帰の過程で到逹すべき完成した男性と女性を意味すると見るこ とができる。創始者の言葉によると、一番目の独生子が完成したアダムであり、二番目の独生子がイ エス・キリストであり、三番目の独生子が再臨主(創始者)であるが、全ての人類は完成して再臨主の モデルに従い、全て独生子・独生女にならなければならないと教示した。

*5:「皆さんの体は、サタンの支配から脱して神様と一つになっていますか。自分を完全に否定しなければサタンに勝つことができません。それで苦労せよというのです。3年半の間、乞食、僕の僕から上って来なければなりません。縦的に僕の僕から僕•養子•庶子•直系子女、その次には母•父•神 様、このように8段階です。また、個人•家庭•氏族•民族•国家•世界•天宙•神様、これも8段階です。ですから、縦的に8段階で横的に8段階です。それが原理観です。先生の言葉ではありません」『み言葉選集』189巻,141頁.1989.4.1.

*6:『み言葉選集』第23巻,148頁,163頁.;第34巻,342頁.;第79巻,189頁.;第103巻,17頁,19頁.;第135 巻,125頁.;第136巻,168頁.;第143巻,24-25頁.;第159巻,186頁,189-190頁.;第160巻,272頁.;第185 巻,186-187頁.;第203巻,282頁.;第231巻,21頁.;第252巻,125頁.;第342巻,234-235頁.

*7:『原理講論』韓国語版 241-259頁.

*8:『み言葉選集』第479巻,156-157頁.2004.12.4:「精子卵子が出発して、神様の愛の心情を持ったその精子が出発して何千万年です。定着できませんでした。参与者の、愛の相対の卵子の家に入って育つことができなかったというのです。それで、女の子宮でそのような精子を育てて、私が母の心を持って愛するという愛の心を持つことができる女がいるかというのです。そのような女を探す為に私は離婚もしました。何のことか分かりますか。その為に、お母様の代わりの候補者を 立てて訓練させるかも知れません」
;文亨進の説教.2015.3.15. https://www.youtube.com/watch? v=MljXewZmIgc.「真の父母様の関係がラスベガスではどうだったのか話したくないでしょう。 ipeacetvの関連者に『このビデオは流出してはいけない。携帯電話を全て消せ。撮るな』何故な ら、お父様が『お母様、こういうことが続けば、あなたと離婚する』と言われたからです。天使長! あなたたちも2つの目でそのみ言葉を聞きませんでしたか」