統一教会の経典の秘密

韓国メシヤ運動史研究所シリーズ第5巻 統一教会の経典の秘密 『原理原本』から『真の父母経』まで

韓鶴子は「家庭盟誓」にも手を付けた

 韓鶴子は「家庭盟誓」にも手を付けた。「家庭盟誓」の「神様」を「天の父母様」に、「成約時代」を「天一国時代」に変更した。「天の父母様」に名称を変更したのは宗教の絶対者を変更したのと同じだ。絶対者を変更したということは、 改宗や新宗教創立にありうる内容である。もちろん、創始者が残した多くの説教の中に「天の父母様」という言及はなくはないが、統一教会の神格は「神様」だ った。父母としての「神様」は一つの存在として父なる神様と母なる神様の2つの属性を共に呼ぶ言葉だ。「天の父母」という名称は一見、天の父と天の母の2つの存在を同時に呼称するものと錯覚し得る。


 また、創始者が呼称した絶対者の名称が、誰かの指示により簡単に修正され たとしても、宗教のアイデンティティを代表する絶対者の意味として認識されるのは決して容易ではない。変更するのであれば、統一教会の信念体制と儀礼体制に基づいた、然るべき合理化過程を経てはじめて、その絶対者の意味が完全なものとなるのである。そのような過程なしに変更するとすれば、アイデンティテ ィの混乱は避けられない*1。 


「家庭盟誓」8節の「成約時代」を「天一国時代」と変更することは、統一教会 信仰者たちの歴史認識を混沌とさせる可能性がある。統一教会神学の歴史認識において、「成約時代」は人間が堕落せず完成期に突入した時代をいう。創始者が真の家庭を成し、これを通して地上天国を実現することができる時代が到来したことを意味する。また、崇拝行為を主に行っていた宗教時代を越え、統一教会人と人類が、自己の責任により完成する時代がまさに成約時代であり、成約時代の結果が天一国である。変更された「家庭盟誓」は、成約時代の意味を縮小し、成約時代の統一教会人の価値と責任、そして権利に対する認識に混乱を招き、統一教会人の歴史意識を弱化させる可能性が大きい。


 創始者の宗教的人生の過程と、韓鶴子の宗教的人生の過程は決して同じではなく、韓鶴子のカリスマは、創始者のカリスマの影に過ぎないにもかかわらず、韓鶴子が「家庭盟誓」をはじめとする「八大教材教本」に手を付けた意図は、「神様の夫人論」「真の母メシヤ論」「真の母神様論」に連結される韓鶴子の神格化と関連があり、韓鶴子統一教会統治につながる。この事実は2014年から現在まで韓鶴子が主張している独生女論によって確認できる。

 

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*1:崇拝対象の名称の変更は、韓鶴子の神格化作業の一部分と見受けられるが、統一教会の教理の 創造主「神様」の概念とは異なる「母なる神様」を強調する試みではないかと考えられる。このような発想は、世俗的女性神学の一部理論を統一原理の解釈に適応することにより、統一教会の 教理を世俗化させている論文「真の母神様論」の発想と相通ずる。この論文は、統一教会の教理 が主張する絶対者の属性を、女性神学または女性解放論の観点で分解し、統一教会固有のアイ デンティティを女性神学の理論で解釈しているという批判を免れない