統一教会の経典の秘密

韓国メシヤ運動史研究所シリーズ第5巻 統一教会の経典の秘密 『原理原本』から『真の父母経』まで

独生女宣言の序幕

 2012年9月3日、創始者が他界すると、深刻に分裂していた真の家庭の状況*1にもかかわらず、韓鶴子は自分を中心とした新たなアイデンティティ統一教会を暗示し始めた。韓鶴子は、創始者の聖和式直後の2012年9月17日に自身が統一教会を主導的に導いていくと公式的に明らかにした。しかし、この日の韓鶴子の言及が新しい経典につながる独生女宣言の序幕であるという事実を知った人はほとんどいなかった。韓鶴子の言及で注意深く見なければならない内容は以下の通り。


「17歳の花のような歳に、真の父母様の聖婚の恩恵を受けることになった。…本人(韓鶴子)当代で、恨を抱いた神様の蕩減復帰摂理を終わらせることと、理想世界実現を当代で完成させることが私の使命である。…一度真の父母になったら、永遠なる真の父母である。本人は、人類初の実体新婦の立場を立てた。母子協助の7年摂理を勝利した。…韓鶴子の還暦を期して、天の主権が根を下した。…今や韓鶴子は、真のお父様と同等権、同居権、同位権を持つようになった。…この地で新しい秩序を立てて行かなければならない」


 韓鶴子のこの発言は、統一教会人たちにあまりにも当たり前だったが、この言葉が創始者統一教会の摂理的伝統を無視し、韓鶴子の独生女論を中心に新たな教理の伝統を立てる信号であったということと、韓鶴子が言う母子協助7年摂理の勝利が真の家庭の分裂を利用し息子たちを追い出すこととして表れるまで、それほど長い時間はかからなかった。


 韓鶴子の新しいアイデンティティを公式化する中で、「天聖経増補版編纂委員会」が2012年9月24日、韓国協会本部で最初の集会を開き、「八大教材教本」解体作業を開始した。

 

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*1:文顯進を追放した韓鶴子は、文顯進追放の先頭に立っていた文國進と文亨進を順番に解任し た。彼らの指示で米国総会長に上がった文仁進は、婚外出産など不倫を理由に自ら辞退することにより、真の家庭と真の子女の権威は地に落ちた。

統一教会は、かなり昔から創始者の血統的アイデンティティを歪曲

4)『文鮮明先生み言葉選集』の主な毀損内容*1

 韓鶴子が修正して再配布した『み言葉選集』の修正本を原本と比較分析した結果、

①露骨に描写した男女の性器関連の言及や何の意味もないように見える内容と、

②郭錠煥、文顯進、文國進など、特定人の名前が挙げられた部分は、内容に関係な く、かなりの部分削除された。

③驚くべき事実は、韓鶴子に対して創始者が否定的に 言及した内容と創始者の血統に関連する言及が削除されたという事実である。

(1)創始者の血統に関する言及削除


あんた達が何、先生が原罪があるか、ないか言うことはできません。
神様が原罪のある先生を使うだろうか。16歳まで、アダムとエバの血統は間違っていませんでした。何故、16歳を重要視するのでしょうか。16歳までは 堕落しなかったのです。その継代をつなぐのです。その前まで掘り下げて先 生に原罪があるかないかということを、自分たちが決定できますか。つまら ないことをしています*2(取消線の部分を削除)

 

 韓鶴子の指示に従い、統一教会は、創始者アイデンティティを代表する「八大教材教本」を統廃合した後、いわゆる「天一国三大経典」である『改定天聖経』『平和経』『真の父母経』発刊作業を続けた。結局、創始者の他界直後から韓鶴子は、自分自身を無原罪の純血独生女と主張し、創始者を「有原罪の堕落した血統」であり、自分が創始者の血統を復帰してあげたと公言するに至る。


 非常に特異なことは、創始者のみ言葉選集削除内容の中に創始者の血統的アイデンティティが言及された内容を削除したということである。創始者の他界約 5ヵ月前の2012年4月頃、統一教会がみ言葉選集第611巻307頁の小題目「先生は 堕落の血と関係ない」を削除した。また、誰かが創始者の血統的アイデンティテ ィを否定しているという創始者の言及*3から見て、統一教会はかなり昔から創始者の血統的アイデンティティを歪曲し消す作業を始めていたことは明らかである。創始者の血統的アイデンティティ統一教会アイデンティティの根本であるという点で、これは韓鶴子の指示なしには不可能である。

 

(2)韓鶴子に関する言及削除


「オモニが、何かを『しろ、しろ!』と言うのにしません。私は私なりに最後まで
動いて行きます。オモニの言うことを聞きません。薬を飲めと言いますが*4


「オンマ、どうしてそんなに見つめるの。何、変なところがあるか。『何時になった
かと思って見ました。時計を見ました(お母様)』時計を何故、見た?見ようとする
なら、自分一人で見たらいいのに、全体を見るように目をこのように…。首が回るように見つめています。静かな夜、静かな水平の上、静かな眠る夜の波にジャンプする鳥が音を立てれば、どれほど大きな破壊でしょうか。静かな世界が完全にど うなりますか。これぐらいの石一つも一杯になります*5


「娘になりうる娘たちが多い中で犠牲的であり、全てのものを自分が責任を負うにおいて、娘として定めて出てきたのです。
訓母様を定めて、オモニと2代が遮ったのを越えなければなりません。オモニがその峠を超えることが出来ないと言うのです、オモニがそこに引っかかっています、今、孝律は何のことか分かるか。(はい)オモニがその峠に引っかかっているが*6

 

イスラム教(回回教で発音は灰灰教と同じ)が白白教、内外が一つになっていません。統一教会が内外が一つになっていません。オモニ一人がどうしたわけか、そのことを残念に思っていません。そうであってはならないというのです。オモニ自身、今、何か先生に対し、少女の時に何も知らないことをよいことに、利用して食べたと考えているのです。そんな考えを未だに持っています。話せば、目をこのように大きく開けます。自分の目が上に上がろうとします。
 そうではありません。お父様の目より下げて『あの地獄の底の主人です』と考えなければなりません。そこから上がることができないので、井戸に落ちるので、 綱を下げてあげます、先生が上がってくる道を知っています*7

 

 「今日、父母様の御印を押すことを指示して朱肉まで準備せよと言ったでしょう。 今しているか。押したか。(はい)私はしっかり全て準備しました。これ以上教える ことはありません。これが何ですか。天国を開く道、真の家庭、文鮮明!
 (基元節まで)4年数ヵ月残っています。この時までオモニが責任を果たせる度数を終えることができなければ問題が起るのです。その為に大事に無事に私が責任を全て築いておいたので、これまでしたので、オモニも、私が悔しいと当たり散らしたり拳を挙げて打ったりしない限り全てが解決されます。
 女を娘として侍って育てて妻を作らなければならず、その次に母を作らなければならず、その次にはお祖母さんを作らなければならず、女王の座まで作らなければなりません。神様の夫人の座まで育てなければなりません。その道は真の父母しか知りません。真の父母だけができる最後の道です。それを誰にも任せることができないので、私が最後までオモニを育ててそのようにしなければなりません。
 オモニは、断食もしてはいけないと言いました。この訓読会も、朝早く出て来るなと 言ったのです。私は1時間過ぎても準備しますが、オモニは寝なさいと言って、何か用 があるならば私が準備を全てするのです。私の言葉だけを信じ、絶対信仰・絶対愛・絶対服従で最後まで峠をうまく越えろというのです。峠を97%まで越えたとしても 3%残っています。つまり私が教えることはできないのです*8

 

 「皆、入って行くのです。先生は頭が悪くないのです。会話をむやみにするなというの です。最後にオモニも異議がなければなりません。自己の威信が、全体が引っかかっています。オンマ!異議はないですか。(はい)(録音状態不良で収録不能)*9


「オモニの位置もありません。オモニの位置も一緒にあると思っています、あり ません。オモニを再創造しなければなりません*10

 

「オモニがどれほど大胆か分かりません。こうした原理原則を中心として天の国の天法生活に入ると一編に引っかり得る状況がたくさんあることを知らずに勝手に生きています。そこに引っかからないように私が垣根を作ってあげて、蘇生時代から国家解放圏までもオモニを保護する責任を今しています。垣根になることは自分の垣根圏と対等な位置でできることではありません。先生が作ってやった垣根ができる前にはできません。
オモニがどうして神様の夫人の位置に立てますか。堕落した女として、どうして 真の父母の夫人の位置に立てますか。真なる僕の夫人の位置にも立てずに追い出されて。それを殺してしまおうとするのにですよ。そのような人を掴まえて 神様の夫人の位置に立てますか。そんな馬鹿げた行動がどこにありますか。統 一教会の皆さんがそうです*11

 

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*1:韓鶴子が削除した全文は、「付録1『み言葉選集』第594巻-第615巻の削除分析」参照.

*2:『み言葉選集』第608巻,276頁.2009.2.27.

*3:『み言葉選集』第608巻,276頁.2009.2.27.;608巻,303頁.2009.2.28.「私たちのオモニにも話してみろというのです、勝手に生きるのか。オモニも38度線を越えなければならない。あなたはあなたが行くべき道があり、私は私なりに行く道があると言って行ってみなさい。分かれてしまった。…
『先生が堕落の血を受けたのか、きれいな血を受けたか』などと言っている。皆さんはそういう自信があるか。…原理を解釈すらできない人々が、先生が純血か、何の血か…私はそのことが分かるので、この場に出ないようにした。そこに行かないようにした、醜いことを知っているので。何、先生の血がどうだというのか。堕落前に血を汚したか。…私がオモニという奴、再臨主という奴を何故、明らかにすることができなかったでしょうか。明らかにすれば、全てなくならなければなりません。追い払わなければなりません、門を閉めて。神様も人類を放ってしまって門を閉めてしまいたいのです。真の父母まで門を閉めてしまわなければなりません。『真の父母になるお前でも残れ』と言いました。それで残った人なのに、残ったものまでなくしてしまおうとしたのであって、 立てようとはしませんでした。立つ場がどこにありますか。足場がどこにありますか」

*4:『み言葉選集』第594巻,15頁.2008.6.21.

*5:『み言葉選集』第594巻,148頁.2008.7.13

*6:『み言葉選集』第597巻,106頁.2008.9.7.

*7:『み言葉選集』第597巻,163頁.2008.9.9.

*8:『み言葉選集』第607巻,310頁.2009.2.16.

*9:『み言葉選集』第613巻,239頁.2009.6.30.

*10:『み言葉選集』第614巻,26頁.2009.7.12.

*11:『み言葉選集』第614巻,28-29頁.2009.7.12.

2012年4月当時でも、み言葉選集に手を付けた韓鶴子の意図

3)『文鮮明先生み言葉選集』毀損後に再配布

 神様の結婚が不発に終わるなど、創始者韓鶴子の不和が統一教会人たちに 公けになり、真の家庭の分裂が*1極限に達していた2012年4月頃、韓鶴子創始者の補佐官・金孝律と一緒に成和社を訪問し、「今後、『み言葉選集』で公式のみ言葉以外に、創始者の私的なみ言葉を削除し、2012年1月に出版された22巻を全て回収して、特定の人に関連する言及と不必要なみ言葉を削除せよ」と指示したと言う。この指示に従い、成和社は既に普及している『み言葉選集』594巻-615巻(22巻)を回収し、韓鶴子と金孝律が削除するように指示した内容を成和社み言葉編集部で削除した後、再発行して購入希望者に再び普及した*2

 2012年4月当時でも、み言葉選集に手を付けた韓鶴子の意図を正確に理解する人は少なかった。更に、み言葉選集の内容削除作業が創始者アイデンティティを消して韓鶴子の独生女アイデンティティを立てる為の事前作業であることを知っていた人は、なお更いなかったであろう。しかし、振り返ってみると、2012年初めから韓鶴子の不従順を露骨かつ公けに叱責した創始者に対して韓鶴子がある種の措置を取り始め、その最初の作業がみ言葉選集に手を付けることであった。

 

 

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*1: 2012年1月27日には汝矣島パークワン地上権無効訴訟の控訴審証人尋問公判がソウル高等裁判所西館309号で開かれた。2012年2月1日、ブラジル・サンパウロ裁判所でフェラボリ協会長が文顯進を相手に提起した刑事告訴の件が無嫌疑処分され、2012年2月22日、ソウル高裁刑事部で金* 律、朱*文に対する背任罪で公訴提起が決定された。2012年2月27日、「摂理とみ旨を愛する食口協議会」がKJ、PK、JSを告発した。2012年5月22日、リチャード・スタインブランのUCIに対する軽率な告訴事実が認められ、4万ドルの罰金刑が言い渡された。2012年2月22日、ソウル高裁刑事22部 はWTAの裁定申請を受け入れ、被疑者P、Jに対して背任罪で公訴提起することを決定した。(事件 番号2011チョジェ3875裁定申請事件)2012年5月12日(日本)、世界基督教統一神霊協会が2012年5 月12日付で、「郭グループの接近に対する報告徹底に対して」という公文を発表した。

*2: 2013年5月,前成和社職員A氏の証言.;2017年3月9日,前成和社職員B氏の証言.

「八大教材教本」を毀損し 韓鶴子経典を合理化する論拠

『真のお母様の生涯路程』を通じて文亨進と統一教会が宣伝してきた2012年1月23日(陰暦1月1日)の「神様の結婚式」も不発に終わった。教会側は全参席者に礼服を準備させ、外国にいる人々まで招待して礼式を準備したまま、その日の朝までこれを成功させる為に力強く推進したものの、創始者の激怒と反対によって結局消えてしまったのである。
 何故、創始者は文亨進と呉澤龍と韓鶴子がそれほどまでに念願した神様の結婚式に反対したのか。2012年1月23日前後に創始者周辺で行われた事件を通して、その疑問を解く糸口を見つけることができる。「神様の夫人論」を前面に立てて韓鶴子と文亨進、呉澤龍らが創始者に隠れて神様の結婚式を密かに準備していた2012年1月19日の天正宮訓読会の雰囲気は深刻だった。創始者

「お母様はお父様と異なる別の道を行っている。お父様の言葉を聞かず、 お母様が『私の言葉を聞け!』というのは、ルーシェルよりももっと恐ろしい 存在だ。そんなお母様に従う者はお化けだ。こいつら…」

と語られ、韓鶴子創始者の前に立て、その後ろには石俊淏、尹晶老、黄善祚、金孝律の4人を立てて、創始者に絶対服従を誓う儀礼をさせたという。韓鶴子の不従順を創始者が公けに叱責したのである。
 また、2012年1月21日土曜日の天正宮訓読会で創始者

韓鶴子オモニが自分の先祖は文総裁の先祖よりも優れていると言ってい る。とんでもない話だ。私に従う人たちは力のない女性食口で、男性たち(子供と幹部)はオモニに従いながら何でもオモニと相談しているので、これが教 会を滅ぼす道であった。教会の男たちがオモニを中心に議論し、オモニが全てのプログラムを決定するということはありえないことである。その子供たちも私に隠れてすることあれば、全て引っかかる!行ってはっきりと伝えろ!」

という要旨で訓読会に出席した全ての人が聞くように大きな声で語ったという。
 文亨進を中心に呉澤龍などが推進した2012年1月23日(陰暦1.1)韓鶴子の神様との結婚式が創始者の反対で水泡に帰した。また、文亨進が推進した1月24日天福祝祭で創始者は、
「お前たちはこれから全てを推進するに当たり、まずお父様に報告して指示を受け、決裁を受けた後、オモニに報告しなければならない。これを逆にしては絶対にだめだ。分かるか。何故先に出て行くのか。…神様は今まで女性を創ることができなかった。文総裁がこのオモニを創るのです。このオモニ が勝手にああしろこうしろとはできません。聖進のオモニも、このオモニも同 じです。聖進のオモニも、このオモニも同じです*1


と言って韓鶴子を叱咤した。創始者韓鶴子創始者をだまして「神様の結婚式」を強行した理由を知っていたものと思われる。結局、責任を果たさなかったことで、韓鶴子が完成したエバ、創始者の真の夫人、真の子女の真の母の立場に立たなかったので、創始者韓鶴子がそれほどまでに願った「神様の結婚式」を許諾しなかったのである*2 。

『真のお母様の生涯路程』が牧会学者金恒濟と文善英が書いたと思われる4つの論文を付録として掲載しているのも興味深い。この論文は「統一教会の公式的立場とは異なる場合がある*3」という前提が含まれているが、この論文の内容とその後に展開された韓鶴子の独生女論、そして統一教会の「天一憲法*4 」の内容を考慮すると、この論文が独生女論や天一憲法に一定部分影響を与えたものと思われる。まず、これらの論文はキリスト教性神学の観点から統一教会の宗教的特性を解釈しており、創始者アイデンティティ統一教会の教理や伝統とは距離が遠い世俗的な女性解放神学者韓鶴子神格化のために企画したものと断定することができる*5。特に「真の母神様論」「真の父母メシヤ論」「真の母メシヤ論」において、論文の著者(金恒濟・文善英)は統一教会の教理によってのみ説明される用語と概念を、キリスト教神学と統一教会神学を区分することなく混用して使っている。このような論旨展開は、深刻な混乱を招来せざるを得ない。

 結論的に『真のお母様の生涯路程』の材料となった呉澤龍の講義とこの本の付録の論文は独生女理論のもう一つの材料になり、「八大教材教本」を毀損し韓鶴子経典を合理化する論拠となった。

 

 

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*1:https://www.youtube.com/watch?v=nh-gwvR-U28.天福式行事.2012.1.24.

*2:
『み言葉選集』第607巻,310頁.2009.2.16.;第614巻,28頁.2009.7.12.;第499巻,235-236 頁.2005.7.3.

*3:『真のお母様生涯路程』284頁.「付録に収録された論文は、鮮文大学校金恒濟教授と文善英教授が執筆したもので、統一教会の公式的立場とは異なる場合があります」

*4:)2013年7月12日「天一憲法制定の為の公聴会」で論議され、天一憲法の前文に銘記された「完全な男女平等を追求し」の語句は『真のお母様の生涯路程』付録に載せられた論文の影響と見える。「男女平等」は国民の平等権保障の為の詳細条項の中の部分項目の下位概念に該当するものを前文に含めたのは、多少不自然である。そのように明示した何らかの意図があるだろうが、その 前に「完全な」という修飾語を付けたのを見ると、創始者と何の差もない韓鶴子の「完全な」位相と権限を強弁し、本憲法案の全般にわたって具体化された韓鶴子の絶対権力の理念的基礎として活用する為のものと見られる。しかし、この文案は問題になったのか、削除された。

*5:『み言葉選集』第367巻,275-276頁.2002.1.23.;第425巻,137頁.2003.11.11.「女権時代だと言って女たちが親分だと言いながら夫を否定して無視する王権ではない。神様と真の父母が立てた原理原則による法に従わなければならない。真のお母様が横的同位圏に立っても主体である真のお父様の指導を受ける」 と教示し、創始者フェミニズムの男女平等の概念を批判したことがある。

呉澤龍が主張する「正分合作用」や「三位一体」の怪

「真のお母様は責任を完遂され、実体の神様の座まで上られました。真のお母様の完成の結果は正分合作用の完成を意味します。人類歴史以来初めて、実体的三位一体が完成されたことを意味します。神様とアダムとエバが完成して一体となれば、三位一体が完成されます。今は神様と真のお父様と真のお母様が正分合作用で言う統一体になられました。神様と真のお父様と真のお母様は真のお母様の子宮で一つになります。…完全な位置に上られた真のお母様(2008.5.14.)は、「万王の王神様解放圏戴冠式」を通じて神様 の全体・全般・全権・全能の権限を行使されます。その結果、真のお父様はメシヤから真の父母に、真の父母から「万王の王」の位置に上られました。「アベル国連定着戴冠式金婚式及び昇華祝祭」(2010.4.29〜5.9)で金婚式は、 真のお母様を神様の夫人の位置まで上らせる神聖な聖婚礼式でした*1」 


 呉澤龍がこの主張で使っている「正分合作用」や「三位一体」の概念は、統一教 会の原理と創始者の教示の概念とは異なっている。統一教会の『原理講論』によると、正分合作用は絶対者・神様の創造過程と創造目的を成す過程的現象であり、正分合作用の結果と目的は四位基台完成である*2。正分合作用の結果を三位一体と主張する呉澤龍は、統一教会の教理から遠く離れているように思われる。原理講論の創造原理によれば、「正分合作用によって三対象目的を成した四位基台の基盤がなくては、神様の創造目的は成し遂げられない」ことになっている*3。したがって、その目的を成就する為には「イエス様と聖霊も神様の二性性相から実体として分立された対象として立ち、互いに授受作用して合成一体化することによって、神様を中心とした四位基台を成さなければならない。この時にイエス様と聖霊は神様を中心として一体となるのであるから、これが即ち三位 一体である*4」と説明している。しかし、この三位一体はまず、夫と妻が子女を生み家庭的四位基台を成す過程的条件であり、家庭的四位基台を成すことができない三位一体では決して創造目的を完成することはできない*5


 さらに呉澤龍は「神様と真のお父様と真のお母様は真のお母様の子宮で一つになります。これが絶対性の起源です」と主張し、「真の母(韓鶴子)」が全体・全般・全 権を行使する完全な神様の位置に上った結果、創始者はメシヤから真の父母に、 真の父母から「万王の王」の位置に上るようになったと主張する。結局、韓鶴子の完成が創始者完成の条件であり、これは「韓鶴子創始者を完成させ、韓鶴子創始者の血統を復帰した」という独生女主張*6の根拠になったと思われる*7

 

 

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*1:『統一世界』2010.5,467号,71-72頁.文亨進は2011年12月4日、天福宮日曜礼拝ビデオ説教で、「2012年1 月28日(陰暦1月6日)の真の父母様聖誕日に挙行される結婚式は神様と真のお母様が結婚し、真のお母様が神様の夫人となる行事である。この行事の為に、真のお母様は真のお父様から耐え難い修行を受けておられる」と語った。この説教を通じて韓鶴子は未だ神様との結婚式と神様の夫人になる為の新婦の授業を受けていたものと見える。ところが、呉澤龍は講義で韓鶴子が責任を全て完遂し、実体の神様の位置に上って、既に2010年に神様と結婚して神様の夫人になったと主張する。

*2:『原理講論』日本語版 54頁.「このように、正分合作用により、正を中心として、二性の実体対象に立たされた主体と対象と、またその合性体が各々三対象目的を完成すれば、四位基台を造成するようになる」

*3:『原理講論』韓国語版 33-35頁.

*4:『原理講論』韓国語版237頁.

*5:『原理講論』韓国語版238頁.

*6:2016.12.25.天正宮で行われた「17人姜賢實対策集会」での韓鶴子の発言;2016.12.30.天正宮で突然、招集された430家庭以上の元老女性集会での韓鶴子の発言。

*7:呉澤龍が統一世界に寄稿した内容の結論は「①神様の子の種が独生女の子宮に安着すると神様が完成する。②神様は地上で形状的女性格対象に出会い結婚式を挙げなければならない。③結局、神様の創造目的完成は、被造世界全体を代表した韓鶴子と神様が婚姻すれば完成される。 ④お父様の精子の最後の定着地はお母様の子宮なので、お母様がいなければお父様の完成はない」ということに要約される。

文亨進が「六マリア」に言及した背景

神格化の最初の作業:神様の夫人論*1

 本格的な韓鶴子の神格化作業の門を開いた人は文亨進である。文亨進は 2010年10月18日に清平で日本統一教会の牧会者を相手に説教する中で、「マホメットには夫人が11人おり、最も若い夫人は9歳だったが、イスラームはこれを隠していない。モルモン教の教祖もどれだけ多くの夫人を持っていたか。お父様は人類の新郎として来られた。『六マリア』の話は恥ずかしいことではない。これからは堂々と知らせて教育しなければならない」という要旨の発言をした。創始者と関連した『六マリア』は、統一教会の創立を前後して創始者の血統復帰行事に参加した女性を指す用語として、統一教会の血統復帰行事を非難する為に作られた反統一教会用語である。


 文亨進が「六マリア」に言及した背景は、2011年4月に統一教会世界宣教本部の指示により呉澤龍が米国統一教会の祝福家庭と公職者を対象に行った教育において明らかになった*2。教育教材の題目は「真の父母様の生涯路程と新しい創造史*3」 であった。この講義と教材の中に「六マリア」の摂理的意義と韓鶴子が「六マリア」の摂理的使命を全て相続して完遂し、創始者の相対者として娘の位置から神様の夫人の位置にまでどのように上るようになったのか、如何に神様及び創始者と対等な位置にまで上り、結局は崇拝対象である神になったのか*4を説明している。


 呉澤龍の教育内容は、2010年1月から12月まで韓国統一教会の機関紙月刊『統一世界』に連載された呉澤龍の「特別寄稿」「特別企画シリーズ」の内容と大同小異である*5。これは2012年1月に発刊された『真のお母様の生涯路程*6』 の韓鶴子神格化論理として拡張された。『統一世界』2012年1月号で呉澤龍が語 った「神様と被造世界」の関係に関する主張は韓鶴子神格化論理の前提と見るこ とができ、6月号の「神様の創造目的の完成」に関する主張はその結論と見ること ができる。言い換えると、1月号で神様と被造世界の関係が「男性格と女性格の関係としてのみ存在する」という前提を設定し、男性格主体である神様が女性格である被造世界全体を代表した立場にいる韓鶴子と結婚することによって絶対性の喜びを感じること*7が創造目的の完成であるという結論に誘導しながら*8韓鶴子を神様の夫人として神格化している。呉澤龍は創始者は神様の体であり、韓鶴子は神様の実体新婦であると主張する。

 神様の精子創始者を通じて韓鶴子の子宮に定着することを絶対性だとする呉澤龍の主張は創始者の教示から出ているように見える*9が、しばらく後に展開される韓鶴子の独生女の主張と神格化の過程を通して見ると、呉澤龍の主張は創始者の宗教的価値を貶めることによって、韓鶴子神格化の根拠を作るために企画されたものと思われる。創始者は絶対者に貸した体に転落し、韓鶴子創始者の夫人ではなく神様の夫人となるからである。呉澤龍の主張とは異なり、 原理講論は「神様が被造世界を創造した目的は、人間を含めた全ての被造物が 神様を中心とした四位基台を完成し、三大祝福のみ言葉を成就して天国を成し遂げることによって善の目的を完成するのを見て喜びを享受しようとすることに あったのである」と叙述している*10。したがって、統一原理が主張する「神様の結婚」とは、神様と韓鶴子の結婚ではなく、完成した男性と父を代表する創始者と完成した女性と母を代表する韓鶴子の完成祝福結婚なのである。


 そして「神様の精子」に関する創始者の教示は、一貫して主張してきた「真の父母」「真の家庭理想」とは無関係ではないという事実から、呉澤龍の「神様の夫人論」や「絶対性」などの概念は、創始者の宗教的価値や統一教会アイデンティティを超えている。韓鶴子神格化の為に創始者の教示の特定概念を捏造したという批判を受け得る。『統一世界』2010年6月号で呉澤龍は「絶対者・神様と創始者、そして韓鶴子、この3者は韓鶴子の子宮で一つになる」という主張をするに至る*11

 

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*1:この部分は、筆者の拙著『統一教会の分裂』252〜262頁の内容を主に引用した。

*2:文亨進と韓鶴子の指示により、アメリカで実施したのと同じ教育は既に、2011年2月にヨーロッパの祝福家庭と公職者を対象に実施されている。これに先立ち、2011年1月17日から4月まで呉澤龍と龍辰憲がUCIと文顯進を非難する世界巡回教育をした。

*3:呉澤龍のPPT講義“True Parents'Life Course And History of New Creation”

*4:呉澤龍は、「韓鶴子が被造世界全体を代表した立場で神様と結婚し神様の夫人になることによって、神様、真のお父様、真のお母様、天宙天地天地人真の父母三位一体が完成し、韓鶴子は三位 一体の一つの位置を占めることができるようになったという。そして、神様の夫人になった後、神様は本体的本体、真の父母様は本体的実体となり、全体•全般•全権•全知•全能•絶対•唯一•不変 の存在になった」と説明している。

*5:『統一世界』2010.1.「万王の王神様解放圏戴冠式を中心とした摂理理解」72-82頁.;4月号:「アベル 国連定着戴冠式と金婚式及び昇華祝祭の意味」67-73頁.;5月号: 「メシヤ、真の父母、万王の王と 私」62-75頁.;7月号:「天地人真の父母定着み言葉実体宣布大会」52-63頁

*6:統一教会『真のお母様の生涯路程』(ソウル:成和出版社,2012).

*7:『統一世界』2010.3,465号,98頁.「創造目的を完成する為に、神様は結婚しなければならない。… 2009年6月1日以後、7年路程の目的と方向性は神様の結婚式である。…神様の救援摂理の目的は、 神様の精子旅行を終わらせることである。神様の精子が地上に着地する基盤を作ることができなかったことが神様の悲しい救援摂理歴史である。今やその恨が解かれる時が間近に迫っている。 神様は、真のお父様の体を使って実体新婦である真のお母様を迎え、神様の結婚式を準備している。神様の結婚式直後から絶対性が出発する。絶対性の完成は神様の結婚式から出発する」

*8:『統一世界』2010.6,468号,72頁.「神様の創造目的は簡単です。神様がアダムの体を使ってエバを妻として迎え、『絶対性』を中心として初愛を通じて喜びを感じるのです。『絶対性』を通して直接喜びを感じるのが神様の創造目的です。…アベル国連定着戴冠式金婚式及び昇華祝祭(2010.4.29~ 5.9)で、金婚式は真のお母様を神様の夫人の位置まで上らせる神聖な聖婚礼式でした」

*9:『み言葉選集』第606巻,256頁.2009.1.15.

*10:『原理講論』日本語版 64頁.「被造物がいかにすれば、神に一番喜ばれるのであろうか。神は万物世界を創造されたのち、最後に御自分の性相と形状のとおりに、喜怒哀楽の感性をもつ人間を創造され、それを見て楽しもうとされた。そこで、神はアダムとエバを創造なさったのち、生育せ よ、繁殖せよ、万物世界を主管せよ(創1・28)と言われたのである。この三大祝福のみ言に従って、 人間が神の国、すなわち天国をつくって喜ぶとき、神もそれを御覧になって、一層喜ばれるということはいうまでもない」

*11:呉澤龍の「韓鶴子の子宮内の三位一体」の主張は、2009年1月15日午前に天正宮「万王の王神様解放圏戴冠式」において、「天地人父母天宙安息圏において絶対性と真のお父様の愛の精子と真のお母様の子宮を中心とした卵子、この3つが一つになって真の血統圏の勝利的宇宙を再創建することを真の父母の名で再び宣布宣言致します。アジュ」と言った創始者の言及を拡大解釈したものと思われる。

統一教会の分裂と経典を毀損した韓鶴子

6. 統一教会の分裂と経典を毀損した韓鶴子

1)統一教会の分裂と創始者の他界*1


統一教会創始者は、自分がイエスから受けた宗教的アイデンティティと強力なカリスマを道具として、血統復帰神話と統一教会の信念体系、儀礼体系を強固に成してきた。彼が成した膨大な宗教的体系と理想世界建設の為の活動は、新宗教史としては見出しがたい業績に違いない。
しかし、結論的に言うと『原理原本』から始まり、「八大教材教本」に至るまで、 人類救援の為の教本と教材を完成させるなど、救世の使命を果たそうとした創始者統一教会の全ての努力は、分裂し危機を迎えている。その分裂は単なる分裂ではなく、創始者アイデンティティを代表する創始者の直系家庭である「真の家庭」の分裂であり、血統的アイデンティティが変質し、結局、創始者の統一 教会が消えてしまい、新しい宗教が生まれる危機である。それだけでなく、創始者のカリスマは、創始者の他界後に日常化*2を超えて、韓鶴子によって消滅の段階に進んでいる。「真のお母様メシヤ論」や「真のお母様神様論」「真のお母様神様の夫人論」「独生女論」のような新たな教理で創始者の妻である韓鶴子が自ら「神様の夫人」や「独生女」「女王」などのカリスマを生産しているが、これは創始者とは無関係な新しいアイデンティティのカリスマである。厳密に言うと「真の父」のアイデンティティとカリスマを基盤に形成された「真の母」のカリスマは、「真の父」(創始者)のカリスマが消えるのと同時に、一緒に消えてしまった。


その根拠は、まず、2017年3月現在、統一教会の動機となる真の父母(創始者) のアイデンティティが真の父母(韓鶴子)のアイデンティティによって否定されてお り、韓鶴子統一教会は、創始者統一教会とは異なる新たな宗教現象として現れているという事実、第2に、創始者のカリスマ伝授の試みが失敗に終わる過程で、創始者のカリスマの実体が暴露され消滅したという事実、第3に、創始者の宗教的理想である「真の家庭」が深刻に分裂し、統一教会の宗教的正当性が消えたという事実、第4に、創始者の一部の家族と幹部の道徳性が暴露されているという事実、第5に、統一教会の資産の独占と、これをめぐる訴訟が未だ深刻化しているという事実などである。
創始者他界の前後に起きた統一教会の分裂は、創始者の「真の子女」(直系の子女)でなく、「真の母」(韓鶴子)の統一教会統治で縫い合わせられた。この結論に至る間、韓鶴子、文亨進、文國進が文顯進を追い出した事件、韓鶴子統一教会組織が再び文亨進と文國進を追い出した事件、創始者の家庭で起きたいくつかの悲劇的事件、各種訴訟などで統一教会の組織は膨大な打撃を受けた。韓鶴子統一教会統治は、創始者アイデンティティと衝突する韓鶴子の神格化作業を通じて教理化・合理化されている。こうした根拠として筆者は、創始者のアイデ ンティティが排除された韓鶴子統一教会新宗教現象と見ている。

 

 

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*1:統一教会の分裂の内膜と過程に対する理解の為に、筆者の拙著『統一教会の分裂』の一読を強 く推奨するものである。

*2:新宗教創始者のカリスマは、創始者自身を絶対的存在として認識する瞬間を頂点に徐々に弱体化 し、結局、日常化される。日常化されたカリスマの運命は、創始者を信奉する信仰者の選択によっ て、悲劇的状況を迎えることもあり、創始者アイデンティティを発展的に相続する後継者によって日常化されたカリスマが新しい次元に解釈され合理化されて、新宗教のまた別の神話につなが ることもある。